デジタルマイクロスコープは、デジタルカメラがついた顕微鏡のことです。
直接顕微鏡をのぞき込むのではなく、観察しているものをリアルタイムで画面に映しながら確認するため、一度に多人数で観ることが可能。
電気や電子業界、自動車にはじまり、金属の部品や化粧品、食品に研究、医療の業界まで、幅広い分野で活用されています。
電気・電子や金属部品業界では主に、微細な金属部品の断面図や製造ラインの品質検査に使用。研究機関では動植物の観察に用いられ、化粧品業界では、肌のキメ・シミなどに対応した、光学アダプタを駆使した肌観察など、分野・用途を問わずに使用されています。
モニターに対象物を映して観ることができるため、一度に複数人数での観察が可能です。
細かな位置の説明も画面を見ながら行うことができ、情報が正確かつスムーズに伝わるようになります。
製品によっては観察や検証・検査・分析・解析作業までを一通り行えるだけでなく、撮影した画像をPCに保存、詳細なレポートの作成といった実用性も兼ね備えている点が利点といえるでしょう。
操作方法も光学顕微鏡よりも容易な製品が多く、初心者でも安心して使用することができます。
デジタルマイクロスコープは、光学顕微鏡と比較して高い拡大倍率を装備しています。光学顕微鏡とは違いモニターに映し出すため、拡大範囲を広げられます。
また直接カメラに画像投影が可能なため、高画質な画像が取得できます。
コントラストなどの色味を改善する、ハイダイナミックレンジなどの機能もあるため、接眼レンズを通して観察するよりも画像が見やすいという利点があります。
デジタルマイクロスコープは、エレクトロニクスや半導体の品質管理、製品の品質向上や寸法の測定、欠陥の確認、解析業務、基礎研究や細胞の分析など、生活に役立つ幅広い用途に使われています。
作業の効率を上げる、欠かせないアイテムです。
光学顕微鏡とは接眼レンズを覗き、直接観察をするものです。一般的には数千倍の倍率が備わっており、遺伝子や皮膚の表面などを観察することに向いています。実体顕微鏡・金属顕微鏡・生物顕微鏡と言われているものも光学顕微鏡のひとつです。光学顕微鏡は一人だけが覗くため大勢でディスカッションしながら観察することには不向きでしょう。また目の疲労や被写界深度などもデジタルマイクロスコープとは異なります。
レーザー顕微鏡は対象物にレーザーを照射し、解像度の高い状態で対象物を観察することができます。また対象物の高さについても観察できるなどの特徴があるでしょう。ただ大きな対象物を観察する場合、レーザー・カメラの部分がスタンドに組み込まれているため、それが邪魔して観察しにくくなります。また色味についても基本的にはデジタルマイクロスコープの方がハッキリわかるでしょう。観察したい対象物や観察内容に合わせて、どちらが最適なのか考えてみてください。
電子顕微鏡は電子線を照射し、対象物を観察するものです。原子レベルまで拡大できるという特徴がありますが、水や油などの前処理を施さなければならない点も。また電子によっては対象物を破壊してしまう恐れがあるので、対象物を選ぶ必要があるなどのデメリットがあるでしょう。目で見たようなカラーで対象物を観察したい、リアルタイムに情報共有したいなどのニーズがあればデジタルマイクロスコープの方が向いているかもしれません。まずは用途に合わせて、どちらの方が合っているのか考えるようにしましょう。
デジタルマイクロスコープは対象物の形状や種類などによって、適切な照明方法が異なります。適切な照明方法を選択しなければ、鮮明に対象物が観察できないため思うような結果が得られないでしょう。基本的には同時落射照明・側射照明・透過照明・偏光照明・拡散照明の5つがあり、それぞれの照明方法には特徴があります。また適した対象物も異なるので、照明を当てる際には注意してください。
デジタルマイクロスコープにはズームレンズ・赤外ズームレンズ・電動ズームレンズ・ボアレンズがあります。レンズによって最適な環境が異なり、環境に合わせてレンズを選ぶことで、理想的な観察が行えるでしょう。レンズ種類や特徴をしっかりと把握しておけば、より適切な観察がしやすくなります。たとえば電動レンズは遠隔で操作したいケース、ボアレンズは極小の対象物を観察するケースなどに最適です。
デジタルマイクロスコープで対象物を観察する場合、カメラヘッドで撮影されている画像や映像はモニター上で表示されます。そのため、デジタルマイクロスコープを選ぶ際にはモニターの種類や特性についても理解しておかなければなりません。デジタルマイクロスコープのモニターには、スコープを直接に接続するものから、パソコンへ接続して表示するもの、またはスコープとモニターが一体になっているハンディタイプなどがあります。
デジタルマイクロスコープを選ぶ際、自分が観察・計測したいもののサイズや、拡大したい画面のサイズに合わせて適切な倍率を考えることも重要です。倍率が不十分であれば目的の画像を正確に得ることができず、過剰に高性能な製品になればコスト面でデメリットがあります。また、光学顕微鏡とデジタルマイクロスコープでは倍率の計算方法についても違いがあり、デジタルマイクロスコープの倍率や仕組みを正しく理解するようにしましょう。
デジタルマイクロスコープを選ぼうとした場合、最初に導入目的や観察対象の条件などを明確化した上で、それぞれのチェックポイントを確認していくことになります。ここでは、デジタルマイクロスコープを選ぶ際の流れや、それぞれの段階において注意すべきポイントなどをまとめて解説しています。デジタルマイクロスコープの選び方の基本をしっかりと押さえた上で、実際の使用感や見え方も意識しながら比較検討するようにしてください。
深度合成とは、同じ対象物を観察している画像の中から、異なる部分にピントが合っている複数の画像を選択的に取り出して合成し、全体的にピントの合っている画像(全焦点画像)を作成する作業です。
肉眼では気にならない凹凸差でも、高倍率になるほどその距離が拡大されてしまい、同時にピントが合いにくくなります。そのため、複雑な形状や凹凸差の大きい対象物から高精細な観察画像を取得するには深度合成による見え方の調整が必要です。
被写界深度とは、そのデジタルマイクロスコープを使ってピントを合わせられる対象範囲(奥行きの幅)を指します。被写界深度が大きいほど対象を観察する際にピンボケしにくくなり、操作に慣れていない人でもスムーズにピントを合わせた画像を撮影することが可能となります。一方、焦点深度とはレンズよりもセンサー側で結像できる範囲を意味しており、一般的にデジタルマイクロスコープの操作で重要となるのは被写界深度の調整です。
微分干渉とは、無色透明な対象物や肉眼では判別しにくい凹凸を持つ対象物などを観察する際に、光の物理特性を利用して対象物の厚みに応じた明暗差を生じさせて、コントラストのある画像を取得する技術です。
微分干渉を用いることで、対象の細胞などを染色したり着色したりせずとも視認性を高められるため、デジタルマイクロスコープを利用する上で重要な観察手法といえるでしょう。
ここでは微分干渉の原理や活用法について詳しく解説しています。
デジタルマイクロスコープは新品だけでなく中古で購入することも可能です。ただし、中古のデジタルマイクロスコープを購入する場合、ただ金額の安さだけに注目すると、購入後に思わぬ不具合が生じたり、結果的に新品を購入する以上の支出が生じたりする恐れもあります。
ここではデジタルマイクロスコープを中古購入する際に注意すべきポイントや、中古デジタルマイクロスコープを購入する方法などをまとめましたので参考にしてください。
デジタルマイクロスコープを購入したいと思っても、なかなか承認が下りないこともあるでしょう。レンタルであれば初期費用を抑えることができ、メンテナンス費用も掛からないなどのメリットがあります。ただ取り扱っている製品が限定される、長期間使用すればコストが割高になるなどのデメリットも。そのためレンタルか、購入かをしっかり見極めた上で、レンタルするかどうかを検討しましょう。レンタルする場合には、公式サイトで流れも必ず確認してください。
デジタルマイクロスコープのデモ機貸し出しはあります。ただ企業によって貸し出し・訪問・リモートという種類があり、デモンストレーションの方法が様々です。貸し出しであれば1週間程度のケースも多く、じっくり試せるというメリットがあります。ただ貸出期間中に破損や紛失した場合には実費を負担しなければならないことも。また送料などの負担がかかることもあるので、前もって送料はどうなるのかなど費用の確認をしておきましょう。
デジタルマイクロスコープを長期間使い続けるためには、適切なメンテナンスを定期的に行うことが大切です。レンズやCCDなどの汚れを除去しましょう。その際、素手で直接触れないようにするなど注意が必要です。また不具合を放置してしまえば、部品が破損し、取り返しがつかないことも。まずは取扱説明書にあるメンテナンスを行い、状況によってはメーカーに修理を依頼しましょう。無理に行うのではなく、困ったことがあればメーカーに相談することが大切です。
ハレーションとは対象物に強い光が照射されることで、白くぼやけてしまう現象のことです。金属製の物質を観察する際に起こりやすく、光量などを調整することで綺麗に映ることもありますが、光を落とし過ぎると真っ暗に見えてしまうことも。ハレーション防止用のアダプタやソフトウェアを活用することで、ハレーションを防止でき、鮮明な画像を残せるでしょう。また製品自体にハレーション防止の偏光フィルターが搭載されているタイプもあります。
デジタルマイクロスコープで対象物を観察した際、3D表示・計測機能を活用することで、対象物を平面的でなく立体的に観察することが可能となります。
デジタルマイクロスコープで3次元イメージを再現するシステムには、例えばD.F.D方式と呼ばれる方法があります。D.F.D.方式は、凹凸や高低差のある対象物について、レンズの位置を調整しながら複数のフォーカス画像を取得・合成し、結果的に立体的なイメージを再現するという仕組みです。
HDR(ハイダイナミックレンジ)とは、撮影できる範囲において最も明るい部分から最も暗い部分までの「明度差の範囲」を拡大できる機能です。
HDR機能を利用することで、デジタルマイクロスコープで撮影した対象物の画像について、白飛び(ハレーション)や、暗すぎて黒くつぶれてしまうことを防止することができます。
ただし、コントラストは明度差に依存するため、HDR機能を使うことでのっぺりとした印象の画像になることもポイントです。
デジタルマイクロスコープの導入に「ものづくり補助金」のような補助金・補助制度を利用できる場合があります。
例えばものづくり補助金は経済産業省の中小企業庁が実施している制度であり、中小企業の生産性向上や革新的サービス及び試作品の開発などを支えるために運用されています。
デジタルマイクロスコープ導入には費用がかかりますが、補助制度を上手に活用することで、より目的にマッチした機材導入を検討することが可能です。
検査用デジタルマイクロスコープを導入する目的としては、まず正確に対象物を観察して問題点や不良品、エラーポイントなどを適切に発見・データ化することが挙げられます。そのため、検査用デジタルマイクロスコープの導入プランを検討する場合も、事前にどのような環境や条件で何を観察するのか、明確化しておくことが欠かせません。
そしてその上で、自社のニーズにマッチした検査品質を叶えられるデジタルマイクロスコープを比較検討します。
工業用デジタルマイクロスコープと一口にいっても、どのような目的で導入されるのか、何を製造したり生産したりする現場で活用されるのかなど、導入理由は多種多様です。
また、工業用デジタルマイクロスコープを実際に活用する時も、作業員が手動でデジタルマイクロスコープを操作するのか、それともシステム化しておきラインへ組み込んでおくのかなど考えるポイントは複数あり、専門家にも相談しながら総合的に考えていくようにしてください。
デジタルマイクロスコープは電気・塗装・化粧品・製薬など様々な業界で使われています。
しかし、同じ業界でも用途によって使い方が異なるもの。
ここでは目的に対し、どのようにデジタルマイクロスコープを活用しているかを紹介しています。
暗視野観察とは、観察対象となるサンプルへ斜めから光を当てて、サンプルから屈折・回折・反射した光だけを観察する方法です。暗い視野の中にサンプルが浮かび上がるように見えることから「暗視野観察」と呼ばれています。
直接光を遮って、観察対象を通って屈折してきた光だけを観察するため、透明なサンプルでも染色なしで観察できるようになり、レンズやガラスのような透明な対象の表面に付いた微少な傷も観察できることが特徴です。
デジタルマイクロスコープの性能を安定して使い続けるためには、定期メンテナンスの1つとして日常的なレンズクリーニングは欠かせません。
ただし、デジタルマイクロスコープは精密機器であり、使われている対物レンズや周辺部品も繊細なものです。クリーニングに際してもレンズペーパーや洗浄液など適切なアイテムを用意した上で、きちんと汚れやホコリを除去しつつ、レンズを傷つけないように注意することが大切です。
生物用デジタルマイクロスコープといっても、観察対象が微生物のように小さな生物なのか、昆虫や植物の一部なのかなど、条件によって検討すべきデジタルマイクロスコープのポイントが変わってきます。
生物用デジタルマイクロスコープの選定ポイントとしては、倍率や視野、照明方法、デジタル画像処理機能など複数のものがあり、実際に購入を考える時はメーカーの担当者にも相談しながら多角的に比較検討するようにしてください。
デジタルマイクロスコープの中には、使用者が離れた場所にいながらオンラインでデジタルマイクロスコープを操作できる「リモート対応デジタルマイクロスコープ」も存在します。
リモート操作に対応したデジタルマイクロスコープを導入したい場合、リモート対応の可否だけでなく、どのようなシステムやデバイスによってリモート操作を行うのか、実際に操作している時の感覚や印象はどうかなど、複数のポイントを確認しておくことが大切です。
高額なコストを費やしてデジタルマイクロスコープを導入しても、実際に操作した時に満足できる観察結果や撮影画像を得られなければ、結論としてデジタルマイクロスコープの導入失敗となってしまいます。
ここではデジタルマイクロスコープの導入で失敗しないためにどのようなポイントへ注意すべきか、また具体的な対策などについて、失敗事例や原因を挙げながら解説していますので、ぜひ導入前の比較検討時に参考としてご活用ください。
マイクロスコープで倍率を上げると、細部は観察できても狭い範囲しか確認できないため、全体像を捉えることができません。そんな時に利用できるのが画像連結機能です。画像連結を行えば、高い倍率で撮影した画像を合成して繋ぎ合わせることにより、全体像の画像を高精細で取得できるようになります。
ここでは、デジタルマイクロスコープの導入を検討している方に向けて、画像連結の仕組みやメリットを解説しています。ぜひ導入前の参考にお役立てください。
デジタルマイクロスコープをPCと接続する際に行わなくてはならない作業に、「キャリブレーション」があります。キャリブレーションを行わないと、計測に誤差を生むばかりか、正確な計測ができません。
ここでは、デジタルマイクロスコープのキャリブレーションに関する基礎知識や作業の流れ、計測の精度を高めるポイントをまとめました。自動計測できるデジタルマイクロスコープについても解説しています。
※2021年9月3日時点で「デジタルマイクロスコープ」と検索して上位表示されたデジタルマイクロスコープメーカー25社を調査。同日時点での各社最新製品が、以下の条件に当てはまる会社を紹介しています。