このページでは、デジタルマイクロスコープの性能を比較検討する際に把握しておくべき「被写界深度」と「焦点深度」について解説しています。また、被写界深度を深めるテクニックについてもまとめていますので参考にしてください。
被写界深度とは、立体的な対象物(被写体)をデジタルマイクロスコープで拡大して観察する際に、ピントを合わせられる範囲(奥行きの幅)を指します。
被写界深度を理解する際は、例えばカメラで人物と風景を一緒に撮影する場合をイメージすると分かりやすいでしょう。
被写界深度が深い場合、被写体となる人物の姿と、その奥に広がる景色の両方にピントの合った画像を撮影することができます。一方、被写界深度を浅く設定すると、手前の人物にピントが合って奥はピンボケしている画像を撮影することができます。
基本的に、被写界深度が深いほどピントを合わせやすくなることがポイントです。
焦点深度とは、デジタルマイクロスコープにおいてピントを合わせられる範囲の中で、被写体側でなく像面側で結像できる範囲を指します。
一般的に被写界深度がレンズの向こうにある対象物でピントを合わせられる範囲を指すのに対して、焦点深度はレンズよりもセンサー側で結像できる範囲となります。
通常、デジタルマイクロスコープのピント調節を考える際に重要なのは被写界深度です。
絞りとは、被写体側からレンズを通ってセンサーへ入る光量を調節する機構です。
絞りを開くとレンズへ入る光の量が多くなり、必然的に明るい画像を撮影しやすくなります。しかし、絞りを開くと被写界深度が浅くなるため、ピンボケしやすくなってしまいます。
そこで、被写界深度を深めるためには絞りを閉じることが必要です。
反面、絞りを閉じるほど撮影画像が暗くなっていくことも重要です。
ゲインとは明るさを調節する機構であり、光に対する感度ともいえます。
絞りを閉じて被写界深度を深めると撮影画像が暗くなりますが、ゲインを上げることで少ない光量でも明るい画像を撮影できるようになります。
ただし、デジタルマイクロスコープや画像処理ソフトの性能によっては、ゲインを高めた際に画像へノイズが生じやすくなることに注意してください。
光学顕微鏡は特定のレンズを組み合わせて対象を観察するため、どうしても被写界深度の調節幅が狭くなります。
一方、デジタルセンサーで対象を拡大撮影するデジタルマイクロスコープは、光学顕微鏡よりも被写界深度を深く設定できるため、ピントを合わせやすいことがメリットです。
そのため、操作に慣れていない人でも高精細な画像を撮影しやすいシステムは、光学顕微鏡でなくマイクロスコープということになります。
※2021年9月3日時点で「デジタルマイクロスコープ」と検索して上位表示されたデジタルマイクロスコープメーカー25社を調査。同日時点での各社最新製品が、以下の条件に当てはまる会社を紹介しています。