従来の光学顕微鏡などでは平面的な観測が主体となっていましたが、デジタルマイクロスコープの3D表示・計測機能を活用することで3次元的に対象物を確認することが可能です。このページでは、デジタルマイクロスコープの3D表示・計測機能についてまとめています。
デジタルマイクロスコープの3D表示・計測機能を活用すれば、観察対象となる物体の表面を平面的(2次元的)に観察するだけでなく、まるでその物体を巨大化させているかのように奥行きのある3次元的なイメージ図として観察することが可能となります。
3D表示・計測機能を効果的に利用することで、例えば段差の高さや凹凸の形状を視覚的に確認したり、段差の側面などを多角的に観察したりといったことが行える点が強みです。
D.F.D.方式とは「D.F.D.(Depth from Defocus)」というシステムを採用した3次元画像作成システムです。
例えば凹凸のある対象物を平面的に観察すると、対象物の上部にピントを合わせれば下部がぼやけ、逆に下部にピントを合わせれば上部がぼやけるといった状態になります。
D.F.D.方式では、立体的な対象物に対して各座標に合わせてレンズを移動・調節し、それぞれの画像を取り込みながらフォーカスの合う距離ごとの画像を統合することで、3次元的な画像を構築することが可能です。
D.F.D.方式は演算精度やシステムの性能に応じて、完全にフォーカスが合わない状態でも高精度な3次元画像を作成できるため、デジタルマイクロスコープの機能の1つとして注目されています。
デジタルマイクロスコープの3D表示・計測機能を効果的に活用することで、様々な目的に合わせた観察結果を得られます。
対象物を立体的かつ正確にイメージ再現できれば、そのまま表面積だけでなく体積まで計算・計測することが可能です。
高精度3D画像であれば、凹凸のある対象物でも体積を計算できるため、対象物の情報品質を高めることができます。
3次元画像の上に任意のポイントを設けて、それぞれのポイントで物体をカットした場合の断面形状をシミュレーションすることが可能です。
3次元画像の上に平行な面をそれぞれ設定し、2面の距離や幅といった数値を計測することができます。
例えば凹凸のある対象物において、3次元イメージ化された画像の上にある2平面を任意に指定し、それぞれの平面が交差する角度を計測することが可能です。
高さカラー/スケール表示とは、例えば高低差の異なる凹凸を持つ対象物の表面において、高さに応じて色を変化させ、高低差を視覚的に表現する技術です。
例えば最も高い部分を赤色、最も低い部分を青色として、さらに高さに合わせてグラデーション表示させることで、対象物が実際にどのような3次元構造を有しているのか一目で分かるように調整できます。
デジタルマイクロスコープの3D機能は利便性の高い技術ですが、一方で実際の運用や正確な3次元イメージの再現には相応の演算能力や性能が必要となっており、当然ながらハイスペックになるほど機材導入のコストも増大します。
また、3D機能と一口にいっても実際の機能はメーカーや製品によって異なるため、自社がデジタルマイクロスコープを導入する上でどのような3D機能が必要なのか、想定している機材は目的の性能を保有しているのかなど、詳細を把握しておくことが大切です。
※2021年9月3日時点で「デジタルマイクロスコープ」と検索して上位表示されたデジタルマイクロスコープメーカー25社を調査。同日時点での各社最新製品が、以下の条件に当てはまる会社を紹介しています。