デジタルマイクロスコープは精密機器であり、安定した性能を維持して観察を続けるには定期的なメンテナンスやレンズクリーニングによって状態を正常に保つ必要があります。このページでは、デジタルマイクロスコープのレンズクリーニングについて解説しています。
一般的に、デジタルマイクロスコープのメンテナンスやレンズクリーニングに必要とされるアイテムの代表例5種を紹介します。
レンズは繊細な部品であり、汚れを拭き取ったりホコリを除去したりする際に傷を付けてしまっては本末転倒です。そのため、レンズを拭くアイテムも専用のレンズペーパーやレンズ清掃用不織布、あるいは柔らかいガーゼなどを利用するようにしてください。
ただし、ガーゼを使用する場合、毛羽立ちによってレンズを拭いた後に細かなホコリなどが付着してしまう恐れもあるため、事前に良くガーゼを洗って表面を整えて、柔らかい状態にしたものを利用します。
空気(エアー)の力でホコリや異物を吹き飛ばすブロアーや、小筆・ハケといったものもホコリの除去やレンズ及び周辺の溝などの清掃に有効です。
ただし、小筆やハケは材質によって余分な油や汚れが付着している場合もあり、使用する前に必ずレンズ洗浄液や中性洗剤などでしっかりと洗浄した上で、脱脂を完了してから使用するようにしてください。
また、ブロアーを使う場合は空気を当てる方向にも注意します。
箸はレンズペーパーやガーゼなどを巻き付けて、即席の綿棒のようにして使います。レンズや周辺部位へ傷を付けないように、木製の柳箸などを使った上で、角を削ってペーパーや布を巻き付けやすくしておくことが大切です。ピンセットを使用する場合も先端でレンズが傷つかないように配慮してください。
綿棒は綿の部分に薬液などが染みこんでいないものを使うことが必要です。また、綿棒の硬さにも注意しましょう。
レンズ洗浄液は、専用のレンズ洗浄液として販売されているもの以外では、原則として無水アルコールを利用します。EE洗浄液のような専用洗浄液も利用できますが、引火性が高いため光源には近づけないように注意してください。
なお、市販されているメガネクリーナーなど洗浄成分や薬液が使用されているものは不可となります。
その他、キシレン(キシロール)を含有している洗浄液は人体や機器への悪影響が懸念されるため厳禁です。
細かな部位の清掃作業になるため、対象部位を拡大して観察できる方法やツールも必要です。虫眼鏡やルーペが使いやすいですが、光学顕微鏡の場合であれば接眼レンズで代用することもできます。
その他、自分にとって使いやすい機器やシステムを工夫して、視野を確保することも可能です。なお、照明の角度によって影が生じてホコリなどが見えにくくなることもあるため、全体的に明るくなるよう調整してください。
レンズのクリーニングを行う手順はデジタルマイクロスコープの種類によっても異なりますが、ここでは一般的な手順をご紹介します。
洗浄液は引火性の液体であり、必ずデジタルマイクロスコープや照明装置の電源をオフにしてください。
対物レンズや周辺部品などを分解し、ルーペなどを使いながらレンズや各部位の傷、ホコリ、汚れなどを確認します。
ブロアーや小筆、ハケなどを使ってあらかじめゴミやホコリといった異物を除去します。ホコリなどが残っていると、ペーパーでレンズを拭いた際に傷を付けてしまう恐れがあるため注意してください。
洗浄液を付けたレンズペーパーなどを使ってレンズの表面を丁寧に拭き取ります。
レンズをペーパーで拭く場合、レンズの内側から外側へ向かって円を描くように拭き取っていくことがコツです。こうすることで、最終的に洗浄液で拭き取られた汚れなどがレンズの外周へ集まるようになり、最後にきちんと汚れを拭き取ることが可能となります。
なお、レンズが小さい場合、ピンセットなどでペーパーを固定したまま、レンズの方を回転させて吹くことがポイントです。
一度でも使用したレンズペーパーには汚れが付着している恐れがあるため、続けて使用せず、常に新しいものを使用するようにしてください。
分解した部品を組み立てる際は、指紋や油脂などで部品が再び汚れないように注意します。
対物レンズが汚れていたり、部品の隙間にホコリなどが混入していたりすると、視野が汚染されて正確なサンプル観察を行えません。
デジタルマイクロスコープを正しく、そして長期的に使っていくためにも、定期的なクリーニングを実施して常にデジタルマイクロスコープの状態を良好なものに保つようにしていきましょう。
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